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親の経験が子供に遺伝する? [本・雑誌]






「脳には妙なクセがある」(池谷裕二著)の中に、子育て中の親にとって興味深い話が紹介されている。

親から子どもへの遺伝は「遺伝子」によって決まるのであり、親の個人的な経験は子どもに遺伝しない。
これが現代の日本人の常識だろう。
ところがネズミを使った実験では、この常識に反する結果が報告されているという。

著者によると、まず前提として
 ・遺伝子コードが変化するためには通常長い年月が必要だが、染色体やDNAは後天的に化学修飾を受ける。
 ・化学修飾を受けると遺伝子の機能発現が変化する。
ということがわかっているらしい。

遺伝子、染色体、DNAは一体どう違うのか?
それぞれどんな関係にあるのか?
まるでわかっていない自分を発見してしまった。。

さっそくネットで検索してみた。(ここに書いている情報の正確さは保障できません。念のため)
 ・遺伝情報全体のことを「ゲノム」という。
 ・遺伝子はゲノムの中の一部で遺伝情報の最小単位。
 ・遺伝子はDNAによって作られる。
 ・染色体はDNAが折りたたまれたもの。
 
遺伝子の化学修飾についても検索したが、すっきりと理解できるような素人向けの情報にたどり着けなかった。
それはともかく、
著者によると「染色体やDNAの化学修飾による遺伝子の機能発現の変化」のことを「エピジェネティクス」といい、このネズミの実験結果は親の経験が子供に遺伝していることを示しているらしい。

ネズミを周り車やトンネルなどの置かれた豊かな環境で育てると、遊びのない環境で育てたネズミよりも迷路を解く能力が高くなることが知られている。
これは脳の中の「海馬」の機能が向上するためと考えられている。
そして海馬の機能が亢進したネズミから生まれた子どもたちも、また海馬の機能が高いことがわかった。
ここで重要なのは、子どもたち自身は豊かな環境を経験していないにもかかわらず、生まれつき海馬の能力が高くて記憶力も増強されていること。
この影響は一世代限りで、(孫には影響しない)かつ、母親が豊かな環境で育っていないと影響しないらしい。
父親ネズミの経験は子どもたちに引き継がれていなかった。

これはネズミの実験データなので人間にも同じことが起こっているのかは不明だ。
ただ、個人的には人間も同じではないかと思う。
「よく遊び、よく学べ」、「子供は遊ぶのが仕事」などというけれど、古くからの「ことわざ」は物事の核心をついていることが多い。
化学的に証明される遥か前から、人間は直感的・経験的に多くの物事の真理を嗅ぎつけてきた。

うちの子どもは近所に同年代の子どもが少ないこともあって、学校以外は家にこもっていることが多い。
親としてはちょっと気がかりなところだ。

【補足情報:エピジェネティクスについての本】
『エピジェネティクス 操られる遺伝子』リチャード.C.フランシス著
『動的平衡2』福岡伸一著
タグ:脳科学
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